アイスランドにワープしよう。
北北西に曇と往け
アイスランドの圧倒的な自然を舞台にサスペンスをひと混ぜしたのが、この北北西に雲と行けというマンガ作品。
日本人にとってあまり馴染みのないアイルランドですが、この主人公はアイスランド在住の日本人の青年。探偵業を生業としています。
彼はただの探偵ではありません、彼は機械の声を聞いて探偵をするのです。相棒は愛車。
草木の少ないアイスランドの道を愛車とともに走るシーンは、一つの写真のよう。
アイスランドの自然や人物、そして事件が複雑に絡み合って進んでいくこの作品。事件の中心となる存在は意外な人物。
愛車のジムニーを駆って大自然の中を駆け抜けるアイスランドの観光マンガとして見るも良し、サスペンスマンガとして読むも良しという一粒で二度楽しめるマンガ作品です。
圧倒的な大自然を描く
このマンガで一番最初に驚かされるのは、アイスランドの大自然。アイスランドは火山の島。寒さと痩せた大地のため、大きな草木が育ちません。
そんな島を丁寧に描いており、まるでアイスランドにワープしたように感じてしまうほど。
アイスランド観光巻である2巻はサスペンス風味が完全に抜けて観光メインのお話。アイスランドの観光名所をめぐる”ゴールデン・サークル”を紹介してくれます。
ひとつまみのサスペンス
このマンガの主人公は探偵。先に書いたようにただの探偵ではなく、機械の声を聞いて事件を解決します。
主人公は携帯電話やパソコン、自動車などの機械の声を聴くことができますが、読者に伝わるように描かれていません。
どんな声を聞いたのかわからない所がハラハラさせますし、想像が膨らみます。
この物語には主軸となる大きな事件が隠されているのですが、観光モードと事件モードが交互に入り乱れるので、事件の解決がなかなか進まないのがちょっともどかしいです。
関連する本
アイスランド繋がりということで”地底旅行”は最初に挙げられるでしょう。行動力のブレーキが壊れた教授と常識人の助手くんが現地民のアイスランド人と一緒に地球の底を目指す古典SF作品です。
100年以上前に書かれたのに、驚くほど現在に通じる新しさを感じますよ。マンガもあります。レビューはこちらからどうぞ。
毛色は大きく異なりますが、歴史戦記である”ヴィンランド・サガ”はアイルランド出身の商人が主人公のお話となっています。
大河ドラマチックなのでどっしり腰を据えて読みましょう。
圧倒的な迫力が紙面から伝わってくるというのであれば”神々の山嶺”も同じかもしれません。
エベレストの最初の登頂者は誰だったのか?というミステリーに挑んだこのマンガ作品は、紙に描かれたと思えないほどの高度感が感じられました。高所恐怖症の人は読めないかもしれません。
このマンガを読んでみて
このマンガを読んでみて一気にアイスランドが身近に感じられました。知り合いにアイスランドに観光に行った人がいたので、この本を勧めてみました。
丁寧に書き込まれていて、自分が撮った写真とほとんど同じ構図のコマがあったととても驚いていました。
個人的にはこのマンガで一気にアイスランドに親近感を覚えてしまいました。それこそ成田発ヘルシンキ行きの飛行機を調べてしまうほど。
お値段約10万円、片道10時間の旅…実際に彼の地を踏むのは気軽にはできないみたいです…
この記事のサムネイルはamazon商品ページより引用しました。