スマホが人間に与えた影響を振り返る
スマホ脳
もはや手放せなくなったスマホ。電車に乗ってみると誰しもがスマホをいじっていますよね。
スマホ片手に食事をしている人もいます。一体どうしてこうなってしまったのか。
スマホが如何に人間の脳をハックしているのかを人間の脳の成り立ちから解説をしています。
スマホの危険性・中毒性理解した上でどうやってスマホとお付き合いしていくかのヒントが語られます。
新しい情報の洪水
この本は人類の歴史を振り返ることから始まります。
人類がアフリカの大地に降り立ってから20万年と言われていますが、20万年のうち99%以上の時間は人間は「飢えと殺すか殺されるか」の時代を生きていきました。
人類にとって椅子に座って仕事をするのは極々最近で、狩猟採集生活をしていた頃の方が何千倍も長いのです。
人間の脳も体もそのようにデザインされています。
狩猟採集生活をしていた頃に重要なのが「新しい情報」です。
新しい狩場が見つかったとか新しい木の実を見つけたなど、新しい情報を得ることがそのまま生死に関わっていたのです。
そのような生活下では、生き残るために脳は新しい情報を得たときに報酬(ドーパミン)を出すようになります。
このように進化してきた脳をスマホは巧みにハックしました。
スワイプひとつで新しい呟きや情報が流れてくるTwitterやFacebook。
「新しい情報だよ!」とスマホから通知が来れば、欲求に抗えないのは人間の脳の進化と特性をスマホは押さえているのです。
関連する書籍
人間の進化の過程を分析して、いかにして本能を獲得していき、その本能と現代社会との乖離に注意すべきかをといたのは、お馴染み「ファクトフルネス」。
2018年の本ですが、今だに売れ続けているのには理由があります。
スマホ脳はなかなかにセンセーショナルな内容でしたので二匹目のドジョウを狙う本がたくさん出ています。
例えば「スマホが脳を破壊する」とかはタイトルも過激になっていますね。
個人的にはこういうスマホに警鐘を鳴らす本よりもこちらの本のほうが危機感を煽りますね。
スマホはアップグレードできますが、自分の脳はそうはいきませんものね。
この本を読んでみて
一緒にご飯を食べているのに、スマホをいじる人を見てイラつくこともありますよね。
でもこの本を読んでみると、ついスマホを手に取ってしまう理由もわからなくもなありません。
同時に「ああはなるまい」とも思いますが。
本の主張がスマホの中毒性・危険性を語るものですので、軽くチェリーピッキング(自分の都合の良い主張ばかり集めた)な印象を受けます。
チェリーピッキングのお手本だったらこちらの本をどうぞ。
スマホがいくら危険だといえ、これからスマホのない生活を送ることはほぼ不可能な状況になっています。
そんな時代でどうやってスマホと付き合っていくのか、一つの指針となる本でした。