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物理ビルド編:Caravelle BLEを作ってみたのでレビュー

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完全無線の自作キーボード。

Caravelle BLE

booth.pm

発売直後に買おうと思っていたのですが、あまりの人気に一瞬で売り切れてしまうほどの人気を誇る、このキーボード。

 

自作キーボードの需要というか、市民権はかなり広まってきているとは想いますが、無線化した自作キーボードはまだまだ少なめ。

一般に販売されている有線の自作キーボードを無線化することも可能なのですが、せっかくなので、最初から無線(Bluetooth)接続が前提のCaravelle BLEを購入してビルドをしてみました。

所々つまづくことがあったので、これからCaravelle BLEを作る人の一助となればと思い記事に残します。

ビルドガイド

大正義・公式ビルドガイドはこちらを確認。

github.com

大筋はビルドガイドに丁寧、丁寧、丁寧に沿って制作を進めておけば引っかかることはありません(最初のペアリングまでは)。

ビルドガイドは概ね下記の順序で進んでいきます。

  1. 電池基盤の組み立て
  2. 最初のペアリングの実施
  3. キースイッチのはんだ付け
  4. ケースの組み立て

きちんとビルドガイドを追っていけば、引っかかることはあまりないのですが、それでもつまづきポイントがあったので、わたしがつまづいた箇所を重点的に解説しながらビルドガイドを進めていきます。

電池基盤とペアリングの実施

電池基盤の組み立ては引っかかることはありませんでした。気をつけるのはダイオードの向きくらいでした。

 

「コンデンサの向きが書いてないんだけど!」と思う人もいるかも知れませんが、コンデンサには極性がないので、向きは気にしなくても大丈夫です。

 

さて、最初の難関であった初期ペアリングの実施。

先にポイントを書いておくと、

  1. スレーブ側(右手側)が正常に立ち上がるのを”確認”する
  2. マスタ側(左手側)を立ち上げ、スレーブ側とペアリングするのを待つ
  3. マスタ側とPCなどのデバイスをペアリングする

ビルドガイドにある通り、このキーボードはスレーブ側(右手側)とマスタ側(左手側)とを最初にペアリングしてからマスタ側をPCなどにペアリングして通信を実施します。

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Image:公式ビルドガイドより

まずは、スレーブ側のNordic_UARTが出てくるかを確かめるのですが、まずここでつまづき。

わたしはMacでペアリングを実施したのですが、何度やってもスレーブ側のNordic_UARTが出てこず結局、仕事用のWindowsPCでペアリングを実施しました。

 

”ペアリングを実施しました”この言葉の意味にお気づきでしょうか。

事もあろうにマスタ側と接続すべきスレーブ側をPCと接続してしまったのです!

さて、ビルドガイドを見返してみましょう。

  • デバイス一覧にNordic UARTと表示されることを確認します

    公式ビルドガイドより 

そう、確認するだけで接続しますとは一言も書かれていません。

 

もしスレーブ側とPCを先に接続してしまうと、まずいことになります。

なぜなら、スレーブ側はマスタ側とペアリングしないと一対のキーボードとして機能しないからです。

だから一旦ペアリング情報をスレーブ側から削除しないといけません。

 

スレーブ側のペアリング情報の削除にはキーボードのIOPを押しながら電源をオンにします。

基盤にスイッチもはんだ付けしていないので、わたしが取った方法がこちら。

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やっぱり持つべきはたくさんのピンセットだよなぁ!

基盤にピンセットを突き刺し、物理的にショートさせた状態で電源を投入することで無事、ペアリング情報を削除することができました。

 

あとは本来のやり方でペアリングを実施するだけです。

まずはスレーブ側を立ち上げ、ペアリング状態にあることを確認します。

あとから分かったのですが、Mac(Big Sur)ではスレーブ側のNordic_UARTはではペアリング候補に出てきませんでした。

大正義公式ビルドガイドでもデバイスの相性によってはスレーブ側のデバイスはペアリング候補に出てこないことが言明されていますので、最悪Nordic_UARTがペアリングに出てこなくても次に進めても良いでしょう。

それではスレーブ側を立ち上げてから30秒ほど時間が経ってからマスタ側を立ち上げます。

 

そしてここでまたもつまづき。

スレーブ側の立ち上げに時間がかかったのか、マスタ側単体でPCとペアリングしてしまったのです。

こうなってしまうと右手側のキーを認識してくれません。

左手側でペアリングしてしまうと、PC側とスレーブ側のペアリング情報を削除する必要があります。

マスタ側のペアリング情報を削除するためにはWERを押しながら電源を投入する必要があります。

ピンセットくん、出番だぞ。

 

二度のつまづきを経てようやくマスタスレーブ間のペアリングとマスタPC感のペアリングを果たすことができました。

つぎにやることは、すべてのキーが正しく動作するかのチェックです。

動作のチェックはピンセットで端子を短絡させることで行います。

ピンセットくん、出番だぞ。

キースイッチのはんだ付け

キースイッチのはんだ付け自体は簡単に終わります。

数が48個あるので、各スイッチに2つづつの都合96回行います。ここまではんだ付けができる人ならほろ酔い状態でも簡単にできるでしょう。

 

気をつけるのはキースイッチの足が折れていないかどうかをきちんと確認すること。

ちゃんと足が基盤から出ているかを確認してからはんだ付けを行うようにしましょう。

 

ここまで来たらあとは本体のケースを組み立てるだけ!

もし時間があるのなら、ここで休憩を取ることをおすすめします。

というのも、この本体ケースを組み立てるのがなかなかの曲者で集中力を要するからです。

本体ケースの組み立て

さて、組み立ての最後にして最大の関門が本体ケースの組立です。

こちらはハンダゴテを使ってネジ受けをケースに熱挿入するという普通の自作キーボードでは使用しない工程を行います。

 

練習用の熱挿入部品がキットには付属していますが、練習用は本番以上にやりやすい状態のものですので、実際はもっと難しいことを覚悟しなければなりません。

というのも、この熱挿入の成功の可否によってケースの出来が大きく左右されてしまうからです。

 

特に注意しないといけないのが、この写真の内側に位置するネジ受けを熱挿入するとき。

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Image:公式ビルドガイドより

この内側のネジ受けは基盤を直接ネジ止めする部分であり、ちょっとでも変な角度で熱挿入してしまうとキータップにぐらつきが発生してしまうという悪夢を生んでしまいます。

ですから少しずつ熱挿入してはネジ止めの位置を確認するという作業を踏んだほうが安定です。

 

外側のネジ受けは1/4は失敗しても大丈夫な感じです(わたしも1つ失敗した)。

外側のネジ受けはボトムケースをネジ止めするためのものですので、全部が全部ネジ止めされていなくても、最悪なんとか使用には耐えます。

そういう意味では、まずは外側のネジ受けで本番兼練習を積んでから、内側のネジ受けの熱挿入を試すのがいいかもしれません。

 

わたしのがこの熱挿入を行ったのが、ペアリングとかで散々消耗したあとで深夜だったので集中力もないに等しい状態だったので左手側のボトムケースをネジ止めする部分を見事に失敗してしまいました。

具体的には4つのネジ穴の内、3つをネジ止めしてしまうと、残りの1つがどうしてもピッタリとはまらずにネジがハマってくれない状態になってしまったのです。

無理矢理にねじ込もうとすると、熱挿入のネジ受けをねじ切ってしまったので、左手のボトムケースは3つのネジ止めで支えている状態にしています。

 

なお、この状態で全く問題はありませんので、不幸中の幸いでした。

不幸な事故を避けるのであれば、少しずつ熱挿入するように心がけましょう。

ケースのネジ受けの熱挿入に関しては集中力が十分にある状態で実施することをオススメします。

 

キースイッチのはんだ付けが終わったら一息入れて休憩してからケースの組み立てに入ることをおすすめします。

ここからが本当の地獄だ…

ケースまでの組み立てが終わったら、もうキーボードとして使用することができます。

Caravelle BLEには最初からキーマップが書き込まれているので、組み立てただけで、それなりに利用することができます。

 

でも、自作キーボードの醍醐味って自分が煮詰めたキーマップを利用することですよね。

そう、この自分で作ったキーマップを書き込むことが本当の地獄だったのです。少なくとも自分にとっては…

 

まずは機械的な組み立てが完了したことの満足感を胸に一度、日を改めることをおすすめします。

なぜならMac使いにとってはここからがほんとうに長く苦しい戦いになったのですから…

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画像引用元の公式ビルドガイドはこちら