心地よい音の流れに身を任せよう。
PLUS ULTRA(2016)
ふわっと寄り添い、包まれるような音楽を探しているのならSerphのアルバムは最適解です。
海の中にいるような、宙に浮いているような、そんな感覚を味わえる不思議な音楽です。
Serphの音楽は電子ピアノで作曲されているというのですが、耳で追いかけきれないほどの音にあふれています。
一見すると無秩序に散りばめられたような音同士が作っていく幻想的なメロディは他のアーティストではあまり聴いたことがありません。
PLUS ULTRAはそんなSerphの特徴的な部分を煮込んだような自身初のアルバムになっています。
不思議な旋律のメロディを全身に浴び、リラックスした時間のお供にピッタリのアルバムとなっています。
おすすめ楽曲
Serphの真骨頂とも言えるのが"feather"です。メロディの最初から存在する一定のリズムにどんどん肉付けされていき、様々な展開を見せていくのは聴いていて心地よい体験が出来ます。
嵐の到来を予感させる”monsoon”はまさに音のシャワーといった感じ。
詰め込みに詰め込んだ密度ぎっしりのサウンドが一つのメロディとして成り立っているのは驚きに値します。
ストリングスから始まるの”vitt”はやや重厚なベースと飛び跳ねるようなピアノが特徴的。
アルバムの終わりを感じさせつつも遊び心が散りばめられた大好きな一曲です。
- airplane
- circus
- feather
- shift
- monsoon
- a whim
- missing
- pen on stapler
- soul for toys
- vitt
- luck
- memories
- lumina
これぞ電子ミュージック!みたいな感じから始まるも急に民族的なサウンドになる”luck”もおすすめです。
行ったことはないですが、カトマンドゥの日暮れの風景が想起されます。
関連する作品
わたしが初めてSerphに出会ったのがこのアルバム。JAZZともFUNKとも言えないメロディにしびれた思い出があります。
こちらのアルバムのほうがやや明るいメロディが多めです。
ジャズピアニストの巨匠であるビル・エヴァンスの電子ピアノを使った珍しい作品。
賛否あったようですが、わたしは大好きなアルバムです。
このアルバムを聞いてみて
以前、「音楽とは規則性と意外性の組み合わせが大事」みたいなことを書きました。
Serphの音楽は規則性をほぼ無視して意外性のみで構成されたような音楽です。
イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・Aメロ・Bメロ・サビ・間奏・Cメロ・大サビ・アウトロ
みたいなカチッとした音楽構成になっていません。聴きようによっては全部イントロ、全部サビみたいにも聴くことが出来ます。
一つ一つの音を追おうしないで、ただ音の流れに身を任すことで大変心地よいひとときを過ごすことができる幻想的なアルバムとなっています。
良くも悪くもマイナーなアーティストなのでセンスの良い音楽のプレゼントとしても重宝します。