ただの脳天気なEDMかと思うなかれ。
Stories(2015)
若くして亡くなったEDMの有名コンポーザーAviciiのセカンド・スタジオアルバムです。
悲しいかなこれが彼の生前最後のアルバムともなっています。
EDM(Electric Dance Music)というだけあって、わかりやすいリズムやキャッチーなメロディが全面に押し出されています。
でもわたしがこのアルバムの好きなのは、どこか悲哀を感じられるところなんです。
道化の顔に描かれた涙マークみたいな、底抜けに明るいってわけじゃないところがこのアルバムに深みをもたせているのだと思います。
また、最初のアルバム”True”に比べて人間の声を使ったパートが多いように感じます。
その分、人間味がより押し出されて曲として聴けるメッセージ性の強いアルバムに仕上がったと言えるでしょう。
収録曲とおすすめ曲
アルバム最初の曲としてインパクトの強い”Wating For Love”がお気に入りです。
ピアノの力強くも、やや悲しげなイントロで一気にこのアルバムの世界観に引き込まれてしまいます。
- Waiting For Love
- Talk To Myself
- Touch Me
- Ten More Days
- For A Better Day
- Broken Arrows
- True Believer
- City Lights
- Pure Grinding
- Sunset Jesus
- Can't Catch Me
- Somewhere In Stockholm
- Trouble
- Gonna Love Ya
”Broken Arrows”は世界で初めて背面跳びを行った実話をもとにしたのではないかと言われていています。
勇気づけられるような、やる気を奮起させるようなメロディと歌詞が大好きです。
アルバム後半を締めくくるのにいい仕事をしているのが”Pure Grinding”と”Sunset Jesus”でしょう。
この2曲はセットになっているように感じるんです。どちらも財を成そうとする人物の心境を歌った曲です。
前者がイケイケで頑張るぞーって空気で、後者がちょっと疲れちゃったよ…って空気。
この対比がいいので、是非セットで聴くべき。
関連する楽曲
aviciiは生前残したスタジオアルバムは実は、このアルバムを含めても3つしかありません。
1つ目がこのファーストアルバムである”True”です。
Storiesと比べてかなり軽めの音楽となっており、気楽に聞けるのですが、メロディに頼り過ぎな感じがあるので、わたしはStoriesのほうが好きです。
2つ目が”Tim”というアルバム。
こちらはaviciiの死後に発表されたアルバムです。有名な歌手が歌っているので歌詞に重心がおいてあるように感じます。
ちなみにTimというのはaviciiの本名です。
このアルバムを聴いてみて
こういうEDM的なアルバムを何度も聴くことはあまりないのですが、Storiesは文字通りいろいろな人生の物語を描いているようで何度も何度も聞き返してしまいます。
そりゃ人生ですから楽しいことばかりではないことが楽曲の節々に聞こえるマイナーなメロディに現れているのかもしれません。
ダンスフロアを沸かすだけのお気楽EDMではないのですが、歌詞を理解せずともメロディを追うだけでも十分楽しめます。
ノリの良いメロディに身を任すもよし、歌詞を聴き込むもよしな奥深いEDMのアルバムとなっています。
記事サムネイルはAmazon商品ページより引用しました。