そのフクロウに見られたら、終わり。
邪眼は月輪に飛ぶ
1巻読み切りのコンパクトにまとまったパニックホラーマンガです。
このマンガはとあるフクロウに関する物語を描いています。
そのフクロウには視界に入れた生き物を殺すという呪いを持っているのです。
そのフクロウはミネルヴァと呼ばれています。
一度は日本のマタギと命がけの戦いの末、狩られかけていたのですが、米国に兵器としての利用価値を見出され、とどめを刺せずに回収されてしまいました。
物語はミネルヴァが米国に回収されて、十数年後の東京が舞台です。
なんの因果か東京にミネルヴァが放たれてしまったのです…
見られたら死ぬ
ミネルヴァの最強の能力は「視界に入った生き物を殺す」というもの。
生き物に区別はなく、人間であろうと動物であろうと、同じフクロウでも必殺の呪いです。
ミネルヴァに見られた生き物は目と口から血を吹き、即座に死亡します。
呪いは黒いドロドロとした液状のように描かれています。
呪いはミネルヴァの目から放たれ、見た生き物へ飛んでいき目や耳を通して体内に侵入して、その生き物を殺します。
その呪いはミネルヴァが直接見たもの生き物だけではなく、テレビを通して見られた生き物に対しても有効です。
その影響で日本中で400万人を超す被害者が出てしまい、都市機能が完全にダウンしてしまうほどでした。
ミネルヴァの悲哀
ミネルヴァは何を目的に飛ぶのか?その1つの答えが劇中には描かれています。
見てしまうと殺してしまうという、自分にかけられた呪いのために叶わなかった、その願いに悲しくなってしまいます。
劇中終盤のミネルヴァの弱さにも描かれていて、生き物を殺す呪いを持つ凶悪なミネルヴァに少しだけ同情してしまいます。一方的な強者としてミネルヴァが描かれていないことで、このマンガに深みを与えているとも思えます。
現実の世界では人間のほうがよっぽど生き物を殺しています。
物語の中でも人間が自然にとっての”邪眼”なのかもしれないとも触れられています。
このマンガを読んでみて
たった1巻ですので、サクッと読む分にはもってこいのマンガでした。
わずか7話という短い話数の中に濃密なストリーを詰め込んでいるのは、さすが「うしおととら」や「からくりサーカス」を生み出した藤田和日郎先生といったところでしょうか。
ちなみにタイトルの「月輪」ですが、これで「がちりん」と読みます。「げつりん」ではなく。
あとがきには、今回悪役となってしまったフクロウに対して「ゴメンよ。フクロウ。」と謝罪があります。
確かにこのマンガを読んだ後はフクロウが怖く感じてしまいます。
なお、ミネルヴァのモデルはシロフクロウでした。ハリーポッターで有名ですね。
あの生き物なのに知性を感じさせる大きな瞳、能面のようなのに時折見せる愛嬌のある顔がわたしは好きです。
今回は悪役となってしまったフクロウですが、このマンガを読んでみて、フクロウカフェに行ってみたくなりました。
フクロウカフェの店員さんがこのマンガを読んだら…きっと怒るかな…
実際のシロフクロウはこんなに可愛いのに…
アイキャッチ画像はamazonより引用しました。