出版社を変えて悪魔的復活!
ニンジャスレイヤー キョートヘルオンアース
その強烈な世界観とから独特な台詞回しで数々の重篤ニンジャヘッズたちを生み出してきたニンジャスレイヤー。そのコミカライズ第二弾が出版社を変えてカムバックを果たしました。
連載していた某萌系雑誌のアトモスフィアとかけ離れた世界観を有していたため、雑誌と出版社まで移籍する始末。雑誌が変わっても独特の世界観はそのまま、いや、それ以上に濃くなっています。
原作で言えば第二部のキョート殺伐都市編です。もちろん第二部から読み始めても楽しめるのですが、第一部から読み始めたほうが物語の背景がよくわかります。なぜフジキドがキョートに来たのか、ナンシー・リーやナラクとは何者かなどを知っておくと第二部をもっと楽しめることでしょう。
舞台は古都・キョート?
マトリックスとブレードランナーと暴れん坊将軍をミキサーにかけてレッドブルを追加したらこんなふうな仕上がりになるんじゃないか?っていう世界観のお話なので、日本文化なんて香り程度も残っていません。
そんな世界でのキョート(京都)の描かれ方は一体どんなサイバー空間になっているのか…と最初は心配(半分楽しみ)にしていたのですが意外とまとも。人力車はカナリ・ハヤイし、五重塔だってあります。いかにもキョートって感じ。
なお、キョートの"ガイオン"が舞台なのですが、これは祇園(Gion)を英語読みした結果なのでしょう。マトリックスのZionを彷彿とさせますね。
磨きがかかった画力
もともとニンジャスレイヤーのコミカライズはその画力が凄まじい余湖裕輝=センセイの画力に磨きがかかってきています。
風景画だけでは?というニュービーの予想はバトルシーンで裏切られるでしょう。第一部でもバトルシーンには力が入っていましたが、第二部では更にニンジャ同士の戦いの描写に工夫や挑戦的な試行が見て取れます。
ニンジャ同士を色付きの風のように扱ったり、日本刀の動きを線ではなく面で描いたりと様々な表現のしかたを模索しているようで読んでいて「あ、こういう表現の仕方もあるのね」と気づきを与えてくれるワザマエは流石の一言でした。
このマンガを読んでみて
ニンジャとサイバーパンクを時にコミカルに、時にシリアスに描いているニンジャスレイヤー。日本語ネイティブでは思いもよらない言い回し*1や、英語ならではのローマ字表記の日本語の読み間違い*2など復讐劇という重厚なテーマの清涼剤やコミックリリーフのような存在となっています。
テーマは重たい復讐劇、作画も本格派、なのにセリフがちょっとコミカルっていう、ちょっと抜けた感じが癖になるんですよね。この癖が中毒になった人たちのことをニンジャヘッズと呼ぶのでしょう。
コミック版が気に入ったら原作の小説版も読んでみましょう。原作小説は、なろう系ラノベや一昔前の携帯小説とは全く新しい読書体験を与えてくれることでしょう。私は一瞬プログラミングのコードを読んでいるような錯覚に陥りました。
ニュービーもヘッズも楽しめるマンガ版ニンジャスレイヤー。好き嫌いの分かれる作品かもしれませんが、ハマればその沼は深いです。