言葉にしないと伝わらない。文字にしないと残らない。

日常の問題に非日常な解決方法を試す”How To バカバカしくて役に立たない暮らしの科学”感想

この記事をシェアする

f:id:Ziddorie:20200429201740j:plain

橋がなくて川が渡れない?川を干上がらせたらいいのでは?

How To バカバカしくて役に立たない暮らしの科学 

現実的な問題に非現実的な解決方法を取るとどうなるのかを真面目に考察したのがこの本。

例えば、橋のかかっていない川を渡るには?と言う問題。普通なら泳いだりボートを使ったりしますが、この本ではそんな現実的なやり方を取りません。近くに発電所を作り巨大な製氷機を稼働させます。その製氷機で川の表面を凍らせて氷の上を歩いて川を渡ったりします。

他にも滑走路以外の場所に緊急着陸をするには?という質問に対してはスペースシャトルのミッションにも参加した元空軍パイロットに様々な質問をぶつけます。

「緊急着陸できそうな場所がスキーのジャンプ台だけだったら?」

「海面に浮上している潜水艦には緊急着陸できる?」

「緊急着陸したいのに、うっかり機体の外に出ちゃったときはどうする?」

 

などなど…現実的な問題なのに全く現実的ではない解決方法を大真面目に語ります。その解決方法は物理的にも科学的にもありえないことなのに、実際にその解決方法を取ろうとするところに笑いが発生します。

高くジャンプしたいためなのにそこまでする?ということと、その吹っ飛んだ非現実的な方法を思いついたよね?って作者の発想力と科学的な考察力に下支えされたうまくいかないアイディアに笑いに変わります。

なぜそんなことを?

わたしたちの生活は様々な選択が迫られます。そしてその多くの選択は現実的で正しいものを選ばないといけません。

橋のない川を渡るんだったら泳ぐか歩くか迂回するかがせいぜいのところで、川の表面を凍らせたり熱で川を干上がらせたりして渡るようなことはしません。

 

実際の生活での選択は「正しく・現実的」なアイデアや解決方法が求められますが、それは誰かが教えてくれることではありません。

私たちはみな、ものごとのやり方を何ひとつ知らない状態で人生をスタートさせる。運が良ければ、何かしなければならないとき、やり方を教えてくれる人が見つかる。しかし、どうやればいいか自分で考え出さねばならない、つまり、いろいろなアイデアを考え出し、それがいいかどうか自分で判断しなければならないこともある。

ランドール マンロー. ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.64-68). Kindle 版.

「どうしてそのアイデアや解決法はうまくいかないのか」ということを考えることに発明の種や学びがあります。

この本では明らかに間違っている解決法を真面目に紹介することで、普通のアイデアでは出会うことのない学びの機会を与えることができるのです(建前)。

関連する本

ややエンタメよりなのがこの本。What ifという本は「〇〇したらどうなる?」っていう小学生が脊髄反射で思いついたような疑問に科学的な解説を与えてくれます。例えば、光の速度の90%で野球ボールを投げたらどうなる?とか、中性子星のひとかけらを持ってきて地上においたらどうなる?とかです。

わたしを理系の道に引きずり込んだ本。中学校の図書館でゲラゲラ笑いながら読みました。アニメや特撮の世界のキャラクターの特殊能力を実際に現実世界で試すとどうなるのか?って解説してくれます。爆笑です。

こちらは空想科学読本の洋画SF作品版。ユーモアたっぷりに様々な映画の実現可能性について紹介・解説してくれます。あらすじが書かれているので見たことない映画でも楽しむことができるでしょう。

この本を読んでみて

いつもは正しい選択・賢い解決方法を選ばなければいけないという、現実世界から遠く離れて思いつきや衝動的な解決方法やアイデアを真面目に取り扱っています。

空想科学読本のようにコメディとして読むのもありです。他にももっと踏み込んで読めば新しい発見や発明があるかもしれません。

今となっては当たり前となっている生活の一部の電子レンジやLEDだって発明当時はとんでもない発想やアイデアだったんですから。

商品サムネイルはamazon商品ページから引用しました。