言葉にしないと伝わらない。文字にしないと残らない。

人生100年時代に大先輩からのアドバイス”90歳を生きること”感想・要約

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起承転転がキーワードな生涯現役の人生学。

90歳を生きること

2020年3月現在で92歳の童門冬二先生が東洋経済のコラムに連載していた生涯現役の人生学を加筆・修正したものをまとめたこの本。

もとが週刊誌の連載コラムというだけって気軽に読み進められるのが良いですね。短めのエッセイがたくさん詰まっているような本です。

 

歴史作家やスピーチライターの顔を持ちつつも、青年時代までは特攻部隊を目指したという背景を持ちます。

特攻の順番が回ってくる前に終戦をむかえ、戦争や特攻隊員にに対する世間の手のひら返しをくらい、グレてしまいます。

そんな若き童門先生は太宰治の小説に出会い、小説家としての人生を歩み始めます。

 

90歳という年齢では体にどういったことが起きるのか、交友関係は、仕事は?

そういった日々のエッセイには人生の大先輩からの押し付けがましくない教訓を感じ取ることができます。

90歳とは思えない(失礼)ほど、みずみずしい書きっぷりに注目です。

人生、起承転々と恕

この本には2つのキーワードがあります。1つ目が「人生、起承転々」、2つ目が「恕(じょ)」です。

特攻隊、都庁勤め、小説家、公演家と様々な側面を持つ童門先生。90歳という年、人生のステージで言えば起承転結では「結」の段階でしょう。

でも童門先生のエッセイから感じられる人物像は「結」に達した人物に感じられません。

それを一言で体現しているのが、「人生、起承転々」です。

転がる石には苔が生えないという言葉があるように、生涯現役を志す童門先生にピッタリの言葉のように感じます。

 

次に恕(じょ)という言葉。こんな言葉があるとは知りませんでした。意味は「相手の立場になって考える」ということ。

講演会で色紙になにか揮毫をお願いされたときには、この恕の漢字を書いているそうです。恕の精神についても複数のエッセイで語られています。

関連する本、作品

わたしは童門先生のことを東洋経済のコラムで知ったので、実は歴史作家だったということは遅れて知りました。

そんな童門先生の代表作と言われるのが上杉鷹山です。

為せば成る 為さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり という言葉を聞いたことがありませんか?その元ネタです。

 

次にLife Shiftです。

人生100年時代をどう生きるかを論じた本。90歳を超えても現役の童門先生にも通じるものがあります。

 

最後にミッドナイト・イン・パリ。

エッセイの中に度々出てくる映画の話題。小説家が主人公ということもあって、通じるものがあったのでしょうか。小説家でなくてもぐっとくる映画です。

この本を読んでみて

孔子の論語。この本の最初にも書かれているのですが、論語は15歳の志学(学問で身を立てると決心すること)から始まり、70歳の従心(心のままに行動しても人の道を外さないようになること)までの10歳毎に標語が掲げられています。

困ったことに70歳までしか書かれていません。なぜなら孔子は74歳で没したため。
紀元前の寿命として長寿と言えるでしょう。ですが21世紀は?70歳代はまだまだ労働人口として数えられるかもしれません。

そんな長い人生をどんなふうに生きていくのか、人生の大先輩のエッセイを通して触れることができました。

記事サムネイルはamazon商品ページより引用。