鉛色の空から差す光。
Bad Blood (2010)
ボーカルの誕生日がフランス革命の嚆矢となったバスティーユ襲撃と同じ日の7月14日だったからバンドの名前がBastille(英語読み:バスティル)になったという逸話をもつこのBastilleの1stアルバム。鉛のような嵐雲が去った後かのような荒野感と湿り気を感じます。
このロンドン発のバンドのアルバムがまとう、絶望と孤独感は初めて聞いた時、ヘッドホンを両側から押さえつけてしまうほどのめり込みました。荒野に取り残されたかのような、ハリケーンにお家を吹き飛ばされた跡に直面したような。絶望的な歌詞とメロディです。
アルバムを通して暗く、陰鬱とした曲調ではあるのですが、嵐の後の新緑の萌芽を思わすと言うんでしょうか。雨降って地固まる的な希望が小さく、本当に微かにですが、しっかりと描かれていると感じます。嵐でめちゃくちゃになったけれど、嵐は恵みの雨ももたらしたんだよ。っていう気づきを薄っすらと醸しています。
思えばバスティーユ襲撃に始まったフランス革命ですが、その後のフランスはめでたしめでたしとは行かなかったですよね。バスティーユ襲撃やその後のフランス国内の混乱を嵐と見立ててこのバンド名にしたと言うのは勘ぐりすぎでしょうか…
収録曲とおすすめ曲
リードシングルかつ、代表曲な”Pompeii” ヴェスヴィオ火山の噴火によって火砕流に沈んだ古代のイタリア都市と同名のタイトルはこの絶望的な状況に対して「どうやって前向きになれってんだ?」って問いかけてきます。上に紹介したPVもなかなかに謎。ちょっとホラーなので苦手な人注意。
こういう歌もあるのか。と感じたのが”Flaws” 日本語に訳すると「欠陥・欠点」本来なら隠そうとする、隠したものをもう一度掘り返して清算しよう。っていう勇気ある行為を歌った曲。特徴的なリズムも耳をつかんで話さない。
- Pompeii
- Things We Lost in Fire
- Bad Blood
- Overjoyed
- These Streets
- Weight of Living, Pt.II
- Icarus
- Oblivion
- Flaws
- Daniel in The Den
- Laura Palmer
- Get Home
ヒロイックな曲調に聞こえる"Icarus" 太陽に向かって蝋の翼で飛んでいったイカロスについて歌ったこの曲。歌われているのは勇気なのか傲慢なのか。
一番絶望的な曲が”Things We Lost in Fire” 「俺達が失ったものをわかっているのか。二度ともとに戻らないものを」という悲痛な歌詞。Pompeiiに呼応するような曲。
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amazon musicではBad Bloodのデラックス版も配信されていて、デラックス版には1stアルバム未収録のPompeiiのカップリングのPoetなんかも収録されています。
Bad Bloodのほかにも2ndアルバムのWild Wordも配信されています。両方共買うよりamazon musicに登録したほうがよっぽど安いので登録してみたはいかがでしょうか?