考え方は相手が知っているか、いないか。
「は」と「が」の使い分け
説明されてもピンとこないし、納得しにくいのが「は」と「が」の使い分け。
Googleで検索してみると下記のような記述が見つかりました。
主格が、その文の中には出てこない同じ種類の名詞に対して、「比べて言うと、〜である」という対比の意味を持つときは「は」が用いられ(対比の「は」)、「それだけが〜である」という排他の意味を持つときは「が」が用いられる(排他の「が」/総記の「が」)、という基準による使い分けである。
うーん、申し訳ないが全くピンとこない。
子供に説明したところで納得してもらえないし、説明できる自信もない。
外国の人にもたまに聞かれる、この「は」と「が」の使い分け問題。
実はかんたんな方法で使い分けができるので紹介していきます。
相手が知っているかどうかが基準
一番基礎となる考え方は、聞いた人が知っている情報が含まれているかいないかかどうかです。
聞いている人が知っている情報が含まれている場合は「が」を使い、含まれていない場合は「は」を使います。
これだけでは意味が意味がわからないと思うので詳しく説明していきます。
例えば自分が会議室や教室で友人や同僚と一緒にいるとします。
そこに人が入ってきて「佐藤さんってどなたですか?」と言ったとします。
その時佐藤さんは「わたし"が"佐藤です」と言ったほうが自然だと思いませんか?
この例では「この場には誰だかわからないが、佐藤さんという人がいる」という情報を聞く人は知っています。
だから「が」が使われます。
一方で、佐藤さんが帰ってしまっている場合だとどうでしょう。
同じように人が入ってきて「佐藤さんってどなたですか?」と聞きます。
佐藤さんはその場にいないので「佐藤さん"は"帰りました」と返事します。
この例では「佐藤さんが帰ってしまった」という聞いた人には知らない情報が加えられているので「は」が使われます。
他にも例をあげましょう。
転校生が自己紹介する時、
転校生「ぼくの名前"は"〇〇です」
と言いますよね。
転校生の名前はクラスメートに知られていない(未知の)情報ですからね。
A「隣のクラスに転校席が来たらしいよ、誰か知ってる?」
B「あいつ"が"そうだよ」
この場合、転校生がきているという情報を聞いている人が知っていますので、"が"が使われます。
これを逆にしてしまうとおかしなことになります。
転校生「僕の名前"が"〇〇です」
クラスメート(他に誰かいるのか…?)
となる感じがしませんか?同じように、
A「隣のクラスに転校席が来たらしいよ、誰か知ってる?」
B「あいつ"は"そうだよ」
A(何がだよ…?)
となってしまうと会話も成り立っていないようにすら感じられます。
疑問形の例ばかりですが、こういった会話でもこの法則は成り立ちます。
A「あいつが、あんなに良いやつだとは知らなかった」
B「やつ”は”昔からそうだよ」
この場合、Aが知らない情報について会話しているのでBは「は」を使用しています。
このように相手が知っているかどうか情報に応じて「は」と「が」を使い分けます。
会話は一人では成り立たない
「は」と「が」の使い分けは一人で悶々と考えていてもピンときません。
なぜなら会話や文書は本来一人では完結しないものだからです。
わたしはこの文書を一人で書いていますが、誰かが読んでくれていることを想定して書いています。
「は」と「が」の使い分けが発生するのは、会話相手が知っているかどうかを思いやっているからなんです。
日常的に行っている会話なので、気づかないうちに習得してしまっていて、説明することが難しくなっているのかもしれません。
この考え方が書いてある本
まるでこの考え方を自分で考えついたかのように書いてしまっていますが、実はこの考え方はこの本で紹介されています。
新聞社の文書のプロが文書について解説している本なので、文書を書く上で、大変参考になります。
聞かれると、意外と答えられない「は」と「が」の使い分け。
基準は相手が知っているかどうかということを理解すると腑に落ちる感じがしませんか?