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異星人との戦いで人類の存続をかけたSF作品「シドニアの騎士」感想

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ハードSF入門にもってこいな作品。

シドニアの騎士

寄居子(ガウナ)という地球外生命体に地球を破壊され、寄居子(ガウナ)と戦いながら人類の種を残すために新天地を探し、宇宙を旅するSF作品です。

シドニアというのは新天地を目指す宇宙船の名前です。

 

寄居子という対話できない生命体は巨大なアメーバのような形をとり、定形を持ちません。

そして他の生き物(人間含む)を捕食し、形を模倣していきます。

なぜ寄居子(ガウナ)が人間を襲うのか、目的や理由は描かれませんが、対抗法が確立するまでは人類は逃げ回ることしかできませんでした。

 

偶然にも近い出来事で寄居子への対抗策が確立してからは人類は衛人(もりと)というロボットに搭乗して本格的に寄居子討伐に動きます。

 

この物語はそんな衛人のパイロット、谷川長道(ながて)を中心に進みます。

シドニアの独特な文化や風習が描かれた日常と寄居子との戦闘という非日常が交錯しており、読み出すと止まりませんでした。

この平和な日常がいつ壊れてしまうのか、ガウナとの戦闘が終わっていつ日常に戻れるのか。そんなことを考えながら読んでいました。

シドニアの独特な世界観

シドニアは巨大な宇宙船です。地球を離れて何世代も経過しているので海や山、そして重力などを知りません。

シドニア内では人工的に重力を生み出していますが、地球に本来あった自然の重力(引力)はおめでたいものとして認識されているようです。

重力米や重力祭など、ちょっと不思議な感じな物の名前が散見します。


他にも登場人物はみな日本の文化をどこか彷彿とさせる名前や風習があります。

登場人物の名前は科戸瀬(しなとせ)や岐神(くなと)などが並びます。

 

ガウナと戦う衛人(もりと)パイロットの装備には日本刀のような軍刀を装備していますし、もしかしたらシドニアの船員はもともと日本から出発した人たちの祖先なのかもしれません。

日常と戦闘

ロボットと異星人が戦うSF作新では戦闘シーンばかりに目が行きがちですが、シドニアの騎士では戦闘員たちの日常にも焦点が当てられています。

シドニアの人たちが普段どんな生活をしているのか、宇宙船での暮らしはどのようなものなのか、作者のたくましい想像力と画力に支えられありありと描かれています。

 

そんな日常がガウナとの戦闘で一気に崩れてしまうという緊張感が常にあるのがこの作品の魅力です。

 

設定だけではマクロスFみたいな感じですが、マクロスFの舞台ほどシドニアは平和ではなく、住民というよりも乗組員といった風です。

シドニアの戦闘機動で居住区が破壊されたり、重力の変動で空に落下死する住人が発生します。

 

戦闘パートばかりではありきたりなSFマンガになってしまいますが、日常パートにも力を入れていることで物語全体に癒やしと緊張感を与えているようでした。

このマンガを読んでみて

昔から名前だけは知っていたのですが、一度読み始めると、練り込まれた世界観に夢中になってしまいました。


完全版が発売されていますので、そちらのほうが巻数も少なくて読みやすかったです。表紙絵は少なくなっていますが…

ちなみにシドニアの騎士(Knights of Sidonia)とほぼ同名の楽曲があります。連載が始まる数年前に発表されたMUSEのKnights of Cydoniaです。

もしかしたら作者の弐瓶勉先生はこの曲名からタイトルを…?

なおこの楽曲のPVはシドニアの騎士とは全く違う仕上がりになっています。中毒性抜群の楽曲なので一緒にどうぞ。

www.youtube.com

本記事サムネイルはamazon商品ページより引用しました。