言葉にしないと伝わらない。文字にしないと残らない。

ランニング素人が約3ヶ月でフルマラソンを走った時の話

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今年の3月にフルマラソンを走ろうと唐突に思いました。私にはマラソンはおろか、ランニングもまともにやった経験がありません。なんでそんな思いつきをしたのか。それは今でもわかりませんが、とにかく出てみようと思い、7月の函館マラソンに申し込みました。

私のランニング経験

まともに走り込んだことはありません。1km7分くらいでタラタラ走ることは趣味のボルダリングのオフトレとしてやってますが、10kmを超えるランは2回か3回くらいしかしたことなく、走ったことのある最長の距離は15kmくらい。それも5年以上前。
 
ボルダリングのオフトレで走る距離はせいぜい5kmほど。週に2回くらい走っていました。申し込んだ3月時点ではランニング初心者。マラソンは7月2日なので、実質3月・4月・5月・6月の4ヶ月しか準備期間がないことの重大さを私はあまり意識していませんでした。
 

トレーニングプランとか

1時間以上走るという経験が数回しかなかったので、持久力の強化が必須です。あと、少しでも体脂肪を落として軽量化も図ろうとしました。3月4月は筋トレ&ジョギング、5月6月は走力トレーニングって感じです。
 
4月まではプラン通りにトレーニングをこなすことができました。GW中に初のハーフマラソンに挑戦して、2時間14分というタイムで完走していい気になっていたのですが、その直後に体調を崩し5月はその後のトレーニングがほとんどできずに月間走行距離が30km程度と急ブレーキがかかりました。これで実質のトレーニング期間が3ヶ月となってしまいました。
 
準備不足は否めないまま6月最初の土日に35km走に挑戦したのですが、途中何度も立ち止まったり、歩いたりしながらも、なんとか35kmを約3時間40分かけて走りきりました。本番での残りの7kmは一体どうやって走るんだ?ってくらいに一歩も歩けなくなったのを覚えています。その日の晩ごはん、ごほうびにステーキを食べました。
 

そして本番当日

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迎えた7月2日は朝から曇ったり晴れたりの天気で大して暑くはありませんでした。でもスタジアムに集まったランナーの人達は「本当にアップなのか?」という様な速度で外周をぐるぐる回っていて、みんな速そうに見えました。
 
スタジアムはランナーが徐々に集まってきて、選手待機列はさながら満員電車の様になっていました。観客席から見ても、誰がどこにいるのか分からないくらいの混雑っぷり。

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選手待機列は完走予想タイムが早い順に整列されているのですが、私は最後尾のグループにいました。最後尾からの眺めはこんな感じ。

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開会式の間、私はアームカバーを持ってくるのを忘れたのに気づきました。日焼け止めクリームもなく、このまま走るしかないな。と思ったのですが、開会式の間ですでにチリチリと日焼けしている感覚がありました。
 

スタート!

9時10分にフルマラソンのスタートがありました。9時ちょうどではないのは同時開催のハーフマラソンの選手との混雑を避けるためです。混雑回避が功を奏したのか、スタートロスもほとんどなく、ゆるゆるとスタートしました。この時の私の心拍数は170BPM以上あって相当緊張していました。
 
ゴールでもあるスタジアムをゆっくりと回って公道に出ていきます。「本当にここに戻ってこれるかなぁ…大丈夫かなぁ…」と不安になったのを覚えています。そしてスタジアム正門にあるフル「42km地点」の看板がひどく遠い存在に思えました。
 

感じた応援の力

スタート直後の心拍数は170BPMだったのですが、走り始めたのもあり180BPMに達しようとしていまいた。「このままでは早々に力尽きてしまう!」と危機感があったのですが、思わぬ味方に合うことができました。それが沿道から応援してくれている人達の声でした。
 
見ず知らずのランナーに「がんばれ!がんばれ!」「いってらっしゃい!がんばって!」と声をかけてくれる人が最初の10kmくらいまで続きました。途中は応援団、吹奏楽団の演奏、よさこい、陣太鼓の応援もあり、レース中は沿道に手を振りながらニコニコ走りました。
 
心拍数も150BPM程度に落ち着き、練習の時と同じ感覚で走ることができました。それくらい応援ってパワーを感じます。おそらくこの日が私の人生の中でもっとも「がんばれ!」と声援をもらった日に違いありません。
 

30kmの壁

多くのランナーが経験するという30kmの壁はさほど感じませんでした。それくらい応援が力になったからです。あとからラップチャートを見てみると応援がまばらなエリアのタイムが如実に落ちていて自分のわかりやすさを確認できましたw
 
函館マラソンでは35kmくらいに海鮮丼、冷やし塩ラーメン、夕張メロンなどが用意されていて、それを食べたい!という気持ちも自分を奮い立たせました。
実際の海鮮丼がこれ。

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一口サイズで美味しかったです。具材もイカやウニ、イクラ  、ガゴメ昆布があって普通のサイズでも食べたいくらいでした。
 
次が塩ラーメン。

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わんこそばくらいの大きさでチュルンと食べられるし、塩分も補給できて一石二鳥。具材もチャーシューやガゴメ昆布、うずらの卵が入っていたりとこだわりが感じられました。
 
他にもスポーツようかん、カステラ、チーズオムレツとか、さながらデパートの試食コーナーを巡るウォークラリーのようでした。
 
そういう食べ物の助けもありましたが、35km走ったことがあるぞ!という経験がここでいきました。終盤に「もしかしたら完走だけじゃなく、目標タイムを達成できるかも!」と思えて加速。1kmの最速ラップがなんと38km地点ででました。
 
他にも終盤に行くに連れて、すごく的確なアドバイスをする応援の人がいて「力強いフォームだよ!」とか「まだまだ余力は十分だ!」「ゆっくりで大丈夫!焦るな!」と声をかけてくれました。そういう環境があったからか、不思議と30kmの壁はあっさりと突破できちゃいました。
 

ゴールへの関門

30kmの壁はほとんど感じませんでしたが、ラスト5kmからぜんぜん距離が減らないような気がして精神的につらかったです。目標タイムの達成がほぼ不可能になり、ちょっとヤケになっていたのかもしれません。それくらいあと5kmは長かった。
 

しかしなんと私はここまで一度も立ち止まったり、歩いたりをしていなかったのです!初マラソンでこれってちょっとすごいんじゃないか?って思っていたんです。

 

でも、ラスト5kmといえば歩いても時間内に完走できてしまう距離です。

 

「歩いてゴールしてもいいじゃん!無理して走んなくていいよw」と自分に甘い考えもありました。

 
事実、あと5kmになってしまったら歩いても走ってもタイムはそこまで変わりません。心拍数はもうずっと170BPM台から下がらないし、足の裏だって痛い。ちょっと道端で休みたい。1度だけ「10秒だけ休んじゃおうかな…ここまで来たんだし…」と思ったことがありました。でもその瞬間に「ばかやろう!こんなところで止まってどうすんだよ!ここで立ち止まってたまるかよ!」と無意識に自分自身を叱咤する自分がいて立ち直りました。
 
正直あと5kmでそんなガッツが残ってるとも、自分自身がそんな性格だったとも自負していなかったので、心底驚きました。そしてちょっと感動しました。俺ってやるじゃんって。
 

マラソンで見つけたもの

スタート時に見えた「フル42km地点」の看板が見えた瞬間からダッシュしました。ビックリするほどクルクルと脚が回って「なんだ、全然脚余ってんじゃん」とレース運びの甘さを痛感しました。アスファルトとは違うゴムっぽいトラックの感触を足の裏に感じながらゴールラインを駆け抜けました。
 
レース中はどんなポーズでゴールを駆け抜けようかとか、どうやればかっこいいかな?とか考えていたのですが、ゴールの瞬間はほとんど覚えていません。多分両手を広げていたのかな?ダッシュの速度が段々とスピードが落ちていって芝生の上に帽子を脱いで座ったとき「あぁ、終わっちゃったなぁ…」と実感しました。
 
タイムは4時間35分。完走の次の目標だった4時間30分切りには届きませんでした。敗因としてはタイムをあまり意識しないレース運びと体力を温存させすぎたってとこです。慎重すぎるレース運びが仇となりました。
 
それでも初マラソンで歩きも立ち止まりもせず、走りきれたことは素直に嬉しい!29歳以下の部門で100位以内に入賞することもできましたし、参加者全体からしても上位40%にも食い込むことができました。
 
あとレース後にコースに向かって礼をするランナーを箱根駅伝なんかで見ますが、あの気持がわかりました。それくらい応援してもらえるってのは力になりましたから。
 
ランナーが走っている間ずっと声をかけてくれたんだろう応援の人、声が枯れていました。拍手をする手が痛くなったのか、即席の鳴り物で応援してくれてた人。炎天下、コース整理の旗をずっと振っている大会関係者の人。色んな人に支えられて走ってきたんだなぁと思いました。
 
ほかにも諦めそうになった時に現れる自分を叱咤できる自分の一面の発見にもなりました。いろいろな気づきを与えてくれた初マラソンでした。くっきりとした日焼け後と一緒に。

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