死を歌うことは生を感じることだ。
Welcome To The Black Parade (2006)
黒の行進へようこそと題されたこのアルバム。死を強く意識したアルバムになっています。思えばMy Chemical Romanceのボーカルであるジェラルドが歌ったHelenaも祖母の死別を歌った曲でもありました。
そんな初期から”死”について歌ってきた彼らが世に出した3番目のアルバムが強く思わせるのが、死と対極にある”強く生きる”という意思。私が彼らのアルバムが大好きな理由としてアルバムを通して一貫したメッセージがあることなんです。
黒を強調するほど白が目立つように、死を強調することで生を目立たせることに成功したアルバムだと言えます。QueenのNight At The Operaに強く印象付けられたというだけあってギターのブライアン・メイの手癖が強く感じられるギターリフが目立ちますが、死を歌うことで生を高らかに歌い上げたアルバムでした。
収録曲とおすすめ曲
このアルバムを表す一曲を言うなれば絶対にこれ、”Dead!”です。表題曲であり、アルバム名にもなった”Welcome to The Black Parade”ではなく、絶対に”Dead!”です。確かに”The Black Parade”もアルバムを代表する曲のなのですが、なんで”Dead!”がこのアルバムを表しているのかというと、”Dead!”がこのアルバムの指針を最初に示しているから。
この曲は歌う側からすると死んだ人を生きた人が歌う皮肉っぽく聞こえ、「君は死んだけど、僕は生き続けるよ。」という”死を歌うことで生を歌い上げる”このアルバムの趣旨をわずか3分16秒に詰め込んでいるんです。
この曲がなければ”Welcome to The Black Parade”はただの死人のコスプレをしたパレードソングにしかなりません。”Dead!”があったからこのアルバムが完成しているとも言える、アルバムの要となる1曲が”Dead!”なのです。
- The End.
- Dead!←ベストトラック!
- This Is How I disappear
- The Sharpest Lives
- Welcome To The Black Parade
- I Don't Love You
- House Of Wolves
- Cancer
- Mama
- Sleep
- Teenagers
- Disenchanted
- Famous Last Word
- Blood(隠しトラック)
アルバムを締めくくる”Famous Last Word”はアルバムを締めくくるにふさわしい楽曲です。アルバム序盤で歌った「君は死んだけど、僕は生き続けるよ」ってメッセージをより明確に示してアルバムを終えるってのは実に美しい終わり方です。
”Welcome to The Black Parade”は見た目が印象に残りやすくて、メロディもQueenっぽくてキャッチーなも十分素晴らしいですが、”Dead!”と”Famous Last Word”と比べたらどうしても聞き劣りしてしまいます。それくらい”Dead!”の出来が素晴らしいんです。
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洋楽に強いamazon musicでは当然、Welcome To The Black Paradeも配信されています。このアルバムの他にもMy Chemical Romanceのアルバムのほとんどが配信中です。
この記事自体が”Dead!”の宣伝記事のようになってしまいました。最初”Dead!”を聞いたときは「へぇ、このアルバムにしてはQueenやThe Beatlesっぽさもなくていい曲じゃん」くらいの印象だったのですが、何度も聞くうちに「なんていい曲なんだ!」って虜になってしまいました。
My Chemical Romanceのアルバムはひとつのテーマをじっくりと歌った曲が多くて、腰を据えて何度も聴くことで印象が変わっていく曲が多くて面白いですね。この次のアルバムのDanger Daysは色んな意味でぶっ飛んでいましたが…