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なぜ辞職しないのか?不信任案が可決されても舛添都知事が動じる必要がない理由

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最近、舛添都知事おろしの勢いが止まりません。
少々マスコミが都知事を叩き過ぎな気がしてちょっと都知事が可哀想になってきました。
ですが、舛添都知事は全く辞任する気はないようです。
マスコミは振り上げた拳のおろしどころに困っているようにも見えてきました。

どうして舛添都知事は自ら職を辞することをしないのでしょうか?
ここまで追い込まれているのであればきっぱりとやめてしまったほうが今後の為政者人生にも禍根が残らなくて良いように思えるのですが、6月13日に開かれた東京都議会総務委員会集中審議で舛添都知事の魂胆が見えて隠れしています。

舛添都知事を解職させるための3つの方法はこちらからどうぞ。
この記事を読む前に流し読みしておくことをおすすめします。

www.nenzop.net

東京オリンピックを人質にして辞職回避を目論む

東京は(個人的に反対ですが)2020年に夏季オリンピックを予定しています。
そして日本人として日本開催のオリンピックは大変喜ばしいものと受け取ることが常識とされています。
東京オリンピックについてはこの記事をご参考に。

www.nenzop.net

ちょっと話がそれましたが、舛添都知事は「今私が辞職したら全日本国民が心待ちにしている東京オリンピックの開催が危ぶまれますよ」というロジックで辞職を回避しようとしています。

なぜ東京オリンピックが人質になるの?

東京オリンピックは聞きしに勝る金食い虫プロジェクトです。
当初は3,000億程度の開催予算だったのに今や最大予算は1兆8,000億円という無計画っぷりです。

そんな巨大な予算の確保のため東奔西走しなければいけない状況でした。
その証拠に今年3月31日に予算の分配の見直しについて森元首相と遠藤利明五輪担当相、そして舛添都知事は会談を行っています。

写真
知事の部屋/活動の紹介[森東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長、遠藤東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣と会談]|東京都
より

写真中央が話題の人舛添都知事、右が森元首相、左が遠藤五輪担当相です。
舛添都知事の公私混同疑惑が本格化する前の3月31日の開催なのが強運ぷりを発揮していますね。
この会談の内容は一般に公開されていませんが、東京オリンピックを開催するための予算に関する重要な意思決定を行う場であったことに変わりありません。

もし、今、舛添都知事が辞職したらこの会談の意味が失われます。
1兆8000億という巨額の開催予算のどれだけを国が負担するのか、どれだけを都が負担するのか、決まりかけていた議題が白紙に戻されてしまいます。
なぜなら、すでに公私混同をしていたとされる舛添都知事の発言自体が都知事の言葉でなくなってしまうからです。

舛添都知事の公私混同疑惑は今日や昨日に始まったものではありませんよね。
3月31日時点で私的な巨人戦観戦や別荘の公用車訪問の疑惑があったのですから。
もし今舛添都知事が今ここで辞職してしまうと過去の過ちを認めてしまうことになってしまう。
そうしてしまうとこの会談の意味がなくなってしまう。

つまり、舛添都知事が言いたいことはこういうことです。
1.私(舛添要一)の辞職により会談の意味がなくなると東京オリンピックの予算配分が白紙化されてしまう。
2.そうするとすべての日本国民が心待ちにしている(かもしれない)東京オリンピックの開催自体が危ぶまれる。
3.予算分配の根拠を残すためには会談に参加した私(舛添要一)が都知事でいる必要がある。
というロジックが成り立つので舛添都知事は自ら職を辞するつもりがないのです。

その証拠にこの会談に参加した遠藤五輪担当相は取材に対してこう述べています。

(前略)4年後の今ごろは2020年東京五輪・パラリンピックの直前であり、その段階で大きな混乱は好ましくはない。(後略)

【舛添氏公私混同疑惑】遠藤利明五輪相「都民、都議会の判断」 - 産経ニュース より

 遠藤五輪担当相は「最終的な判断は都民、都議会に委ねる」という旨の発言していますが、要は先の会談の意味を持たせるには舛添都知事が都知事でないといけないと思っているわけです。

残念ながら都議会の不信任案は拒否される

6月15日にも不信任案が決議されるとの見通しがたっています。
おそらく(自民、公明与党の反対がなければ、しかもその可能性は非常に低い)決議されるでしょう。そして不信任案は可決されるでしょう。
※不信任案が議決:都知事不信任の是非を問う議論の場を持ちますよ。
※不信任案が可決:議論の場で議員がやめろっつってるから知事を解職しますよ。
自民党、公明党ともに舛添都知事を推した責任があるため、辞めさる責任も持っているためです。

ですが、舛添都知事には伝家の宝刀があります。
都議会解散です。
「都知事を解職するようなお前ら都議会の方がおかしいだろ!」という都知事に与えられた正当な対抗手法です。
不信任案が決議されて10日以内に都知事は都議会を解散させる権利を持っています。

おそらく、舛添都知事は不信任案が可決されたら都議会を解散させます。
その根拠として6月13日の舛添都知事自身の発言があります。

(前略)可決されれば失職か議会の解散に伴う選挙が8~9月のリオ五輪・パラリンピックに重なるとして、次期開催都市として極めてマイナス。どうか少し猶予を頂きたい」と議会側に求めた。

 そのうえで「(リオ後に)知事としてふさわしくないと議会が判断したとき、不信任案を出してもらえればいいと思うとも述べ、9月議会で進退を仰ぐ考えを明らかにした。給与を全額辞退する考えも示した。(後略)

舛添都知事、不信任案「少し猶予を」 給与すべて辞退 :日本経済新聞 より

 一見しおらしい発言ですが、
「都議会議員諸君、リオ五輪後の不信任案は受け入れてやってもいいが、今ここで不信任案を可決したらお前らを解散させるぞ」
いう脅迫めいた発言としても捉えられます。

残念ながら都議会員には都知事による解散命令に対抗する手段はありません。
そのため、都議会は強制的に解散させられます。

今都議会を解散させれば、リオ五輪開催機会中は舛添都知事は都知事のポストを死守できるので舛添都知事の思惑はそのまま実現してしまいます。

舛添都知事を不信任案で解職させるには再選後の都議会でもう一度不信任案を「決議」する必要があります。この場合は都知事に拒否権はありません。
ですが、その時期は9月以降になります。

舛添都知事が辞めないなら強制的に解職する方法はもはや1つしかない

それは都民によるリコールです。
この方法に因る解職は都知事に拒否権のない強力なものです。

しかしながら前例のないハードルの高いリコール方法です。
リオ五輪開催までに辞めさせるのであれば、2ヶ月以内に150万人近い署名を集める必要があるので非常に難しいです。

しかも60日ルールで7月以降しかリコール活動を開始できません。
つまりリオ五輪開催までたった1ヶ月しか猶予がないわけです。
1日あたり約30,000人の氏名と住所を集める必要があるわけです。
1時間あたり約2000人です。
1分あたり35人、1秒あたり約0.5人。
2秒に1回は都民の誰かに氏名と住所を書いてもらう必要があるのです。
現実的に不可能ですよね。これって。

つまりは舛添都知事をリオ五輪までに強制的に解職させるための方法はないのです。
だから、どれだけマスコミに叩かれようとも自分からは辞職しなくてもいいのが現状です。

ここまで見越しての発言だったのか、いやはや、舛添都知事の頭脳の回転には眼を見張るものがあります。