言葉にしないと伝わらない。文字にしないと残らない。

食事を知ることは文化を知ること。食事は文化「世界の食べもの」感想

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世界(アジア限定)の文化を食を通して知りましょう。

世界の食べもの

1日の生活で必ず行うのが食事。睡眠と同じくらい大事です。食事って地域差が出ますよね。日本国内でもお正月の雑煮が大きく異なるように、世界に目を向けたら食事の味付け・文化は多種多様です。

日本のような米が主体な食事と欧米のようなパンが主体の食事って大きく分類できるんでしょ?って思っていたのですが、どうやらそこまで単純ではない様子。同じ米を主食とするアジア圏の食事でもタイと日本の食事って全然違いますよね?

その土地の食事を掘り下げることはその土地の文化や情報を得ることに繋がるんだとこの本は主張します。確かにそのとおりかなとこの本を読む前から思っていました。魚を生で食べる日本人がいて、牡蠣を生で食べる欧米人がいて、同じ海から取れるものですらここまで食材に対する見方、考え方が違うんです。

考え方が違うってことは文化も異なります。確かに日本国内旅行でも地のものを食べるのってのは何よりも良いものですよね。同じように世界に目を向ける時、食事を軸にすると、想像しやすい形で考えることができるんじゃないか?っていうのがこの本を読んで得られる考え方です。

 

パン食と米食の違いは?

日本の主食といえば”米”。日本やアジアの多くの国はご飯のような主食と主食を食べるための食欲推進剤として味付けの濃いおかずを一緒に食します。一方、西洋で多いパン食はこういった考え方を持ちません。日本風に言えば”おかずが主食”なのです。おかずはご飯を食べるためのサポート役ではなく、おかずが主役なのです。パンは一つの食材であってパンを食べるためにメインディッシュがあるわけではないのです。

こういった違いは実際に洋食のコースを食したことがあっても意識することはありませんでした。洋食の主役はあくまでお皿に乗った料理なのです。

ちなみに昨今、日本人の米の消費が落ち込んでいると言われています。これが本当ならパン食や麺類の消費が米の減少分、増加していないと理にかないませんよね。でも実際はそうなっていません。

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出展

米が減少量を埋め合わせるほどのパンの消費量(出費)が増加していません。これはただ単に日本人が食事を多く取らなくなったと言えるのではないでしょうか。

www.meiji.co.jp

明治の調査によると日本人の米消費だけでなく、タンパク質摂取量は1950年台と同じ水準になっています。結果、日本人の摂取カロリー量は右肩下がりです。米離れというよりかは日本人の食事量が減ってきたとも判断できるのではないでしょうか。

働き盛りの人より老人のほうが食事量が減ります。国がそのまま老化してきたので、その影響が食事量にあらわれているのかもしれませんね。

 

日本の料理=料理しないこと

日本の料理で代表されるものってなんでしょう。「寿司」?そうですね。寿司は日本料理を代表するものといっていいでしょう。「刺し身」はどうでしょう?寿司にしろ魚を生食するのは日本人くらいでしょうか。「天ぷら」は?タネ七分に腕三分という言葉が古くからあるように日本人に古くから親しまれる食事です。

天ぷらはともかくとして、寿司と刺し身って料理としてすごくシンプルなものだと思いませんか?刺し身は料理として提供するのに必要な作業は捌いて一口大に切りそろえること。寿司はその刺し身にシャリとわさびとを組み合わせること。天ぷらはその2つに対してずいぶんと手が加わっていますが、タネ七分に腕三分ってずいぶん食材に依存していますよね。

この本を読んでハッとしたのが日本食で上級とされる食事はできるだけ人間の手を加えないというところにあるというところです。魚が新鮮ならば生で食え。それがだめなら焼いて食え。それでもだめなら煮込んで食え。という言葉が本書の中で紹介されていされています。それくらい日本料理ってのは「手を加えないこと」に重点が置かれているんです。

手の込んだ西洋の料理とは別の方向に進化した日本料理は世界的に珍しいのかもしれません。

 

この本を読んでみて

この本を読んで、日本人の食事について見直すことができました。タイトルにある「『世界』の食べもの」という割には紙面の半分以上が日本食についてでしたので、タイトルは「日本の食事とアジアの食べもの」くらいにしておけばよかったのかもしれません。

世界の食事と銘打つには世界の食事を網羅することができていません。そういった書籍は難しいのはわかるのですが、日本を出発して韓国、中国、東南アジア、インドを軽く触れて中東で日本に戻ってきています。フランスやイタリア、アメリカ、南米の料理については全く触れられていません。タイトルに惹かれて「これで世界中の食文化の概要を知れるのか」と思って読むとがっかりすること間違いなしです。

個人的にはお酒の文化をもうちょっと触れてほしかったですね。序盤で各大陸の代表的なお酒を触れているのですが、込み入った解説は日本酒以外ありませんでした。

世界の食事と看板に掲げるには誇大広告がすぎるとは思いますが、日本の食事と食文化を見直す分には面白い本であることには間違いありません。この本を読めば、普段の洋食や中華を食べるときに日本食との比較文化論を感じることができるようになるかもしれませんよ。