言葉にしないと伝わらない。文字にしないと残らない。

その根拠は吟味されてる?とは「言ってはいけない 残酷すぎる真実」感想

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根拠薄弱とは「言ってはいけない」

言ってはいけない 残酷すぎる真実

公に取り沙汰されるのがタブーとされる、されそうなテーマに関して切り込んでいくのがこの本。

例えば「人種や性別によって知能に差がある」とか「遺伝的に起因して殺人などの凶悪犯になる」とか「容姿と収入は比例関係にある」などなど。

 

たしかに議論を呼びそうなテーマですね。

だから「言ってはいけない」のかもしれません。

テーマの大小は違えど舞浜のあるテーマパークについて「あのキャラクターの中には人がいるでしょ。」って言うのと近い気がします。

 

誰もが「本当はああなんでしょ?」って思っていることを、わざわざ明言するところにクドさを感じる人もいるかも知れません。

わたしも読書中に「そりゃそうでしょ…」って何度かありました。

 

でもこの本の価値はあとがきにある、この輝く一文にあると感じました。

『シャルリー・エブド』の編集部がイスラーム過激派の武装集団に襲撃され、編集スタッフや警官など12名が犠牲になった。この事件を受けて、日本を代表するリベラルな新聞社は、「テロは言語道断だが下品な風刺画を載せた方も問題だ」として、「ひとが嫌がるようなことをする表現の自由はない」と宣言した。

本書の企画を思いついたのは、この驚くべき主張を目にしたからだ。誰も不快にしない表現の自由なら北朝鮮にだってあるだろう。

(中略)

ちなみに私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。

橘 玲. 言ってはいけない残酷すぎる真実(新潮新書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2556-2563). Kindle 版.

 この言葉に出会えたという所にだけは買ってよかったと思えました。

知識と分断

人種間で知識や知性に関する差別は簡単に炎上して激しい議論を呼びます。

某国大統領も最近メラメラしたばかりです。

でも「黒人特有の身体能力」「日本人離れしたプロポーション」とかだったら炎上しないのになんででしょう。

人種間で差を際だたせるような言い方をしているのに。

 

理由は現代社会は知識や知性にお金を払っている社会構造になっているからです。

知識の格差が経済格差となって現れます。

日本でも学歴による経済環境の違いによって分断状態に陥っているよと主張している本が出ています。

この本のレビューはこちらからどうぞ。

www.nenzop.net

「言ってはいけない」に書かれていること自体の一部はメチャクチャな論理ではないと感じます。

分断状態に陥ったグループは自分のグループとほかのグループにキャラ付けを行います。

そうしてどんどん分断の溝が深まっていきます。

血液型診断とか文系・理系あるあるとかはその良い例です。

根拠はほんとに明確か?

この本では様々な調査結果で裏付けをとった上で様々な「言ってはいけない」ことを取り上げています。

一見、その調査結果や根拠は理にかなったように見えますが、やはり盲目的になってはいけません。

 

思わず笑いそうになったのが「心拍数の低い子供は犯罪者になりやすい」というもの。

その理由を端的に言うと「普段から心拍数が低い子供は最高にドキドキする犯罪を起こす」というから、らしいのです。

 

ちょっとこじつけがすぎると思いませんか?

少年・少女が非行に走るのは心拍数が低いからではなく、その人が育ってる環境や人間関係に起因するといったほうがよっぽど論理的では?

 

子供の心拍数が低ければ犯罪や非行に走るのであれば、その子供を四六時中走らせて心拍数を高めておけば非行に走らなくなるのでしょうか?

走らせても走らせても子供の心拍数が高くならない?それはスーパーアスリート誕生の瞬間です。

この本を読んでみて

今回紹介したのはごく一部の「言ってはいけない」でした。

先にも書きましたが、「容姿による収入の差」とか「子供に対する遺伝の影響」などいろいろです。

ただ、これらのテーマがセンセーショナル過ぎてやや下世話なのが気になります。

 

またテーマ自体は面白いのですが、裏付けの調査結果や論文を専門家でもない著者が正しく解釈できているのかについても疑問は拭いきれません。

この本に都合のいいところだけをピックアップしてきているのではないか?と勘ぐってしまいます。

あとがきのあとに、これでもかと並べられた参考文献も一度疑心をもってしまうと裏付けのアピールとして見えてしまいます。

 

結局、最後までモヤモヤとした疑心を持ちながら読む羽目になってしまいました。
最初に書きましたが、

『シャルリー・エブド』の編集部がイスラーム過激派の武装集団に襲撃され、編集スタッフや警官など12名が犠牲になった。この事件を受けて、日本を代表するリベラルな新聞社は、「テロは言語道断だが下品な風刺画を載せた方も問題だ」として、「ひとが嫌がるようなことをする表現の自由はない」と宣言した。

本書の企画を思いついたのは、この驚くべき主張を目にしたからだ。誰も不快にしない表現の自由なら北朝鮮にだってあるだろう。

(中略)

ちなみに私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。

橘 玲. 言ってはいけない残酷すぎる真実(新潮新書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2556-2563). Kindle 版.

というのには賛同します。

不愉快なものが正しく語られているかどうかは保証しませんが。

 

物足りない人むけにおかわりもあります