GAFAが創り変えた世界でどう生き残るか。
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
日々の生活に欠かせないのがGAFA。Google・Amazon・Facebook・Appleの頭文字をとってGAFAです。GAFAがここまで大きく成長したのはなぜでしょう?その理由の説明にGAFAが人体の部位に例えられています。Googleは「頭脳」、Amazonは「手足」、Facebookは「心」、Appleは「生殖器」に例えられています。どれも人間には無くてはならない物です。
appleが生殖器?って思うかもしれません。高価なapple製品を平気で買えるのは全世界の人口のうち、わずかに上位1%。日本では誰もがapple製品を買っているので気づきにくいですが、その選ばれし上位1%に食い込んでいるんだぞ!というのをapple製品を持っていることがセックスアピールなんです。要は異性に魅力的に映るんですね。ごめんよ、エクスペリア。すまない、ピクセル。
また、apple製品を使うことで神を近くに感じられるともいいます。神とはもちろんスティーブ・ジョブズのことです。彼の死はappleを完全な宗教に作り変えてしまいました。apple製品を使うことで神とのつながりを感じられる。だからビジネス界では不可能と言われていた「安いものをプレミア価格で販売する」というビジネスモデルが成り立っていると書かれています。
amazonはウェブの本屋から一気に世界一巨大なバーチャル店舗となりました。あまりにも急速すぎたため、ニッチが生まれる猶予すら無いくらいに。この成長速度は人間に備わっている、できるだけ楽にたくさん物を集めいようとする狩猟採集本能に訴えかけたからだと言えます。amazonを使ったことがある人ならわかると思いますが、おすすめ商品を延々と見てしまったことはありませんか?それは手足を使った狩猟採集本能を刺激されているからかもしれません。
強力なレコメンドシステムで自分が必要とする(かもしれない)ものを前もって提示されたら、ついクリックしたくもなります。必要なものは全部amazonで手に入る。そんなふうにモノの売り方を完全に作り変えてしまいました。
GAFAには誰も対抗できないのか?
ここまで巨大になってしまったGAFAに対抗できるのはGAFAだけです。GAFAは莫大な費用がかかるため他社にはできないことに挑戦します。だから他社を出し抜けるんです。地図会社のゼンリンがストリートビューを作り上げることができなかったのに、地図会社でもないGoogleは世界中の地図とストリートビューを作ってしまいました。莫大な資金を持つGAFAは他社ができないことをやってのけるのです。
そんなGAFAに対抗できる企業はないのでしょうか?本著の中ではマイクロソフトやアリババ、テスラ、ウーバーなどが候補として挙げられています。これらの企業がGAFAのようになる事ができない(できていない)のはなぜなのでしょう。
その理由は垂直統合されていないからだと説明されています。彼らは賃貸物件に住んでいる住民で、GAFAはマンションを所有しているオーナーなのです。スマートフォンはappleとGoogleに支配され(Windows Phone?そんな物ありましたっけ?)、SNSはFacebookに、小売はamazonに支配された現在、GAFAに関わらずに独立したビジネスをするのは事実上不可能になっているわけなのです。
GAFAの世界でどう生き残るか
本著の終盤にこういった言葉が出てきます。
大まかに言ってしまうと、現在は超優秀な人間にとっては最高の時代だ。しかし平凡な人間にとっては最悪である。
スコット・ギャロウェイ. the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.5333-5334). Kindle 版.
超優秀な人間というのはGAFAに就職できるようなレベルの、ごく限られた人のことを言います。残りの人にとっては最悪な時代だといいます。私を含む平凡な人間はどう生きればいいのでしょうか。その指南が本著の後半を占めています。
この部分はかなり自己啓発的な論調になっています。少々驚きだったのですが、やや根性論っぽいところもあります。
ほとんどのCEOは定期的に運動をしている。会議室でろくでもないことが起こったとき、そこにいる全員を殺して食べるくらいの強さを身につけよう。そうすれば相手より優位に立てる(もちろん実際に相手を殺して食べてはならない)。
スコット・ギャロウェイ. the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.5717-5719). Kindle 版.
ビジネス書ではなかなか目にすることのない文言ではないでしょうか。やはり筋トレは最強のソリューションだった…?🤔🤔🤔
平凡な人間がGAFAが支配するこの世界で生き残るためには、身体的な強さも必要です。その他にもGAFAとうまく付き合っていく柔軟性、世界は不公平だと知ることも大事です。
この本を読んでみて
私は読書には2つの種類があると常々思っています。1つが面白い本。もう1つがためになる本です。そして、この本は出会うのが難しい「面白くてためになる本」でした。GAFAを四騎士にたとえ、それぞれに対して心を掴むような例えを与えてくれます。Googleは神、Amazonは消費、Facebookは愛情、appleはセックスの具現者であり、毎日何億人もの生活に寄り添っています。
忘れてならないのはGAFAは公的な機関では無いことです。利益を追求する団体です。CSR活動にも力を入れてはいますが、究極の目的は金儲けです。雇用を生むためにビジネスを広げているのではなく、利益を生むからビジネスを広げるのです。
著者は最後にこのように述べています。
この調子だとアメリカは300万人の領主と3億人の農奴の国となる。
スコット・ギャロウェイ. the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.6033-6034). Kindle 版.
もちろん300万人の領主というのはGAFAの従業員のことです。農奴となっても生き残るのに必要なスキルは運動と筋トレによる健康の維持なのかもしれません。