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イギリスがEUから離脱したらどうなるの?日本への影響は?

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2016年6月23日、その答えが出ます。
この記事を書いている時点で明日なのですが、6月頭の世論調査の結果では離脱支持45%、残留支持41%と離脱支持派が若干優勢ですが、もしイギリスがEUから離脱してしまったら、イギリスはEUは、そして日本はどうなってしまうのでしょうか?

恐怖を煽るキャメロン首相、反発する離脱派

キャメロン首相は英国民に残留を支持するように猛烈にアピール中です。
というのもEU諸国への輸出は英国の40%以上を占めていて、EUを離脱したら自由貿易することができずに輸出時に関税を支払う必要が出てきます。
そうなると英国内の産業は打撃を受け失業者が増え、GDPも下落するだろうと予測されています。

また、英国がEUを離脱したらEUの経済の話の場に立つことができません。
勝手に関税を引き上げられたり、英国に不利な新しいルールをEUで採択されたとしても英国は発言すら許されなくなってしまうのです。
ですからキャメロン首相は猛烈に残留を主張しています。

反対に離脱派はキャメロン首相は恐怖を煽って国民を扇動していると反発しています。
EUは経済共同体なのでギリシアの経済危機の時のようにEUの一部の国が経済的に立ちゆかなくなった時はEUの国々の間で助け合いをしなければいけません。
「なんで他所の国のために我らがポンドを使わないといけないのか」という不満はごもっともです。
また、英国民の一部には「我々は大陸の連中とは違う」という意識もあり、大量の難民の流入やイスラム過激派のテロなども離脱派を勢いづかせています。

もし英国がEUを離脱したらEUはどうなるの?

EUとしても英国の離脱を望んでいません。
EUとしても英国は主要な貿易相手なので、関税によって英国との貿易も今まで通りには行かなくなります。
英国をメインターゲットにしている産業や企業は大打撃でしょう。

でもEUが一番恐れているのはEUがバラバラになってしまうのでないか?ということです。
英国がEUを離脱すると必ず後追いで離脱する国が出てきます。
スペイン、イタリア、ギリシア...EU加盟国にいるEU離脱派を勢いづかせる結果となり、離脱する国が続出するとEUと言う枠組み自体が形骸化してしまい経済的にもボロボロになってしまいます。

そうなってくるとユーロの価値もだだ下がりになってしまうのでEUとしてはなんとしても英国にEUに残留して欲しいのです。
もしかすると英国のEU離脱による影響は英国よりEU全体のほうが大きいのかもしれません。

もし英国がEU離脱したら日本への影響はないの?あるならどれくらい?

ありまくりです。
もし英国がEU離脱したらユーロの価値やポンドの価値が下がるんじゃないかと不安に思う人が出てきます。
そうするとユーロを売ってドルや円を買おうという動きになり、今以上に円高になるでしょう。

円高になってしまうと日本の輸出産業に大きな影響が出てきます。
特に自動車産業は欧州が主要な市場のひとつなので、不安視した日本国内外の投資家としても投資を渋るでしょう。
これは日本に限った話ではなく、アメリカにおいてもドル高に走り輸出産業に悪影響が及びます。
世界各国にあふれるmade in chinaの製品も同様です。
 
英国のEU離脱が引き金になって世界の経済が危機的状況になる可能性すらあります。

EUからの孤立に名誉はない。

関税率の変動は貿易に直結します。
しかも英国というEUの、世界のメインプレイヤーともなると影響力は絶大です。
奇しくも1930年の世界大恐慌も関税率の変動が原因でした。
 
貿易は民間や企業の間で行われるものとはいえ国と国とのやりとりです。
そのやり取りに直接影響を与える関税は経済的な意味だけでなく、政治的な意味を持ちます。
関税の変動で発生した世界大恐慌が引き金になって第2次大戦が勃発したことを思い出してしまいます。

日本からは未だに残留派と離脱派が火花を散らしている英国の情勢をハラハラしながら見守ることしかできません。
"Rule, Britannia !"(統べよ、ブリタニア!)まず統べるのは、国内からでしょう。